近年は不動産業界でも、多くの企業がインスタグラムを活用し集客に結びつけています。そこで今回は、不動産会社がインスタで集客を行うメリットやデメリット、運用のポイントなどについて詳しく紹介します。
インスタグラムは不動産の集客にもおすすめなSNS
インスタグラムは、集客力の高さや非対面で集客できるといったことから、近年不動産業界でも注目を集めています。不動産業界では少子化による空き家の増加や住宅の供給過多から年々競争が激化しており、新たな層への新規顧客開拓が求められているのが現状です。
また「重要事項説明」もオンライン上でできるよう法改正がされるなどDXの流れがあり、コロナ禍を経て非接触によるコミュニケーション需要も増加しています。Webから直接内見ができるツールなども続々と登場しているなか、集客においても非対面・非接触ででき、かつこれまでとは異なる集客方法が求められているのです。
一方でインスタグラムは画像・動画をメインとして投稿を行うSNSであり、物件の外見・内装を大きく表示させユーザーの注目を引きやすいのが特徴です。またハッシュタグ機能や位置情報機能などにより、エリアや物件の条件などの絞り込みもでき、不動産業界との相性がいいことから、近年集客ツールとして注目を集めています。
インスタを不動産の集客に使うメリット
インスタグラムを不動産の集客に利用するメリットとしては、次のことが挙げられるでしょう。
- 視覚的に訴求ができる
- 直接コミュニケーションを取りやすい
- 顕在顧客・潜在顧客に広くアプローチできる
それぞれ詳しく紹介します。
視覚的に訴求ができる
冒頭でも簡単に紹介したように、インスタグラムは画像・動画がメインのSNSであり、文章では伝わりにくいものも画像・動画で視覚的にわかりやすく伝えられるのが魅力です。そのため不動産業界のように、まずは各物件の魅力を視覚的にアピールし、注目を集めるのが重要な不動産業界との相性がいいSNSと言えるでしょう。
とくにインスタグラムではおしゃれな画像・動画が人気になりやすいため、デザイナーズマンションやおしゃれなリノベーション物件、個性的な間取りの物件などをアピールするのに適しています。
直接コミュニケーションを取りやすい
インスタグラムは、直接ユーザーとコミュニケーションを取りやすいのもメリットの1つです。インスタグラムもSNSであるため、コメントやいいね、DM(ダイレクトメッセージ)機能などさまざまなコミュニケーション機能が搭載されています。
そのため、ユーザーから来る物件の質問に返信したり、具体的な内見日時のやり取りをDMで行ったり、逆にこちらからアンケートを投稿して回答をもらったりと、さまざまなコミュニケーションが行えます。
これにより、ユーザーが物件や内見、契約などに関する不安を解消しやすいのはもちろん、実際に会う前にしっかり親密度を高め信頼関係を構築できるため、その後の契約にも結びつけやすくなるでしょう。
顕在顧客・潜在顧客に広くアプローチできる
インスタグラムでは、顕在顧客だけでなく、潜在顧客に対してアプローチできるのも大きなメリットです。Webにおける集客でもっとも一般的なのは不動産ポータルサイトですが、これは基本的にすでに引っ越しが決まっており、積極的に物件を探している顕在顧客が利用するものです。
一方でインスタグラムは引っ越しの決定している顕在顧客はもちろん、それ以外にもあらゆるユーザーが利用するものです。そのためたとえば、受験を控え来年には遠方で一人暮らしが濃厚な学生や、まだ命令は出ていないものの、近々異動になりそうな会社員など、将来的に顧客となり得る潜在顧客も多く存在します。
またそういった人たちが少しでも物件に興味を示せば、インスタグラム側が自動的に、似たような物件情報や不動産に関連した投稿を多く表示するように仕組みができています。そのため、潜在顧客に対してもアプローチがしやすく、顕在顧客になるまえに囲い込みを行うことで売上のアップにもつなげやすいでしょう。
インスタを不動産の集客に使うデメリット
当然不動産の集客にインスタを利用することには、デメリットも存在します。主に考えられるデメリットとしては次のものが挙げられるでしょう。
- 成果が出るまでには時間と人的リソースが必要
- テキストによる情報発信には適さない
- 同時にホームページを充実させる必要がある
それぞれ詳しく紹介します。
成果が出るまでには時間と人的リソースが必要
まず大きなデメリットとして、成果が出るまでにはある程度の時間と、継続的な人的リソースが必要な点が挙げられます。インスタグラムは、アカウントを成長させるために最低でも2~3日に1回の投稿を継続することが重要です。
またフォロワーを継続的に増やすためにはクオリティの高い投稿が求められ、ユーザーともコミュニケーションをしっかり行う必要があり、それぞれ時間がかかります。本格的に運用を行う場合は広告やキャンペーンといった施策も必要であり、業務の片手間にこれらをすべて行うのは難しいでしょう。
くわえて投稿がある程度増え、フォロワーやいいねといったリアクションが増えなければ、インスタグラムも幅広いユーザーのタイムラインや発見タブに、自社の投稿を表示してくれません。こういったことから、成果を出せるアカウントをつくるのに時間と人的リソースは必須であり、もし自社で確保できない場合には運用代行といった外注も検討した方がいいでしょう。
テキストによる情報発信には適さない
インスタグラムの性質上、テキストを使った情報発信に向かないのもデメリットの1つです。インスタグラムは画像・動画が大きく表示されるSNSであり、テキストも追加はできますが、画像・動画と比較して小さく表示される上文字数制限もあります。
テキストにURLリンクも貼れないため、テキスト部分を活用するのはおすすめできません。もしテキスト中心にアプローチを行いたいのであれば、インスタグラムではなくX(旧:Twitter)の利用がおすすめです。課金をすれば、長文を書いて投稿することも可能です。
同時にホームページを充実させる必要がある
SNS集客は、集めたユーザーを直接売上につなげるのが重要であるため、SNSの運用とともにホームページを充実させる必要があります。インスタグラムに限らず、SNSで集めたユーザーはその後自社のホームページやECサイトへ誘導して売上へとつなげます。インスタグラムの場合は、投稿からプロフィール欄に誘導し、掲載された自社ホームページのリンクを踏んでもらう流れです。
しかし、リンク先のホームページにコンテンツが少なかったり、うまく予約ができなかったりといった不備があると、せっかく集めたユーザーもすぐに離脱してしまい意味がありません。そのためインスタからリンクを踏んでもらった後どのように誘導するかを考え、ホームページに導線をつくりましょう。
不動産会社がインスタ集客を成功させるコツ
不動産会社がインスタ集客を成功させるポイントとしては次のものが挙げられます。
- コンセプトで他社と差別化を図る
- 物件の魅力・アピールポイントを写真で紹介する
- 動画やライブ配信でルームツアーを行う
- 投稿にハッシュタグをつける
- ユーザー目線でコンテツをつくる
- インスタ広告を活用する
- インスタグラマーにPRしてもらう
- 一目でわかりやすいプロフィールを設定する
それぞれ詳しく紹介しましょう。
コンセプトで他社と差別化を図る
まずは他社と差別化できるコンセプトは何かを考えましょう。冒頭でも紹介しているように、近年はインスタも不動産業界の集客ツールとして注目を集めているため、すでに多くの企業がアカウントの運用を行っており、ただ漠然と運用しては他社に埋もれてしまいます。
そのためただ運用するのではなく、自社の強みをコンセプトとして掲げることで差別化し集客を図るのがおすすめです。たとえば「高収入世帯向けのリッチな賃貸紹介アカウント」や、「ペット好きのための設備が充実したペット可物件紹介アカウント」といったように、ある程度条件や地域を絞り込みます。
これにより、こういった物件が好きなユーザーの興味を引きやすくなるうえ、投稿する内容を決めやすく、アカウント全体で統一感も出せるでしょう。
物件の魅力・アピールポイントを写真で紹介する
アカウントの通常投稿は、基本的に各物件の内装や外観、アピールポイントを写真で紹介しましょう。おしゃれな物件やユニークな物件の魅力がわかる写真を掲載し、見ているユーザーに「ここに住みたい」と感じてもらえるような投稿を行います。
この時アピールポイントは、写真の上に邪魔しない程度の短いテキストを書き込むことで、見ている人に魅力が伝わりやすくなります。写真は複数枚掲載し、後半で周辺の施設情報や駅からの距離などの情報を伝えると、ユーザーが具体的に生活した場合をイメージしやすくなるためおすすめです。
動画やライブ配信でルームツアーを行う
物件を紹介する際は、写真だけでなく動画やライブ配信もうまく利用しましょう。実際に動きながら部屋の中を見ていくことで、実際に内見をしているような感覚で物件を見てもらえます。またライブ配信では、実際にリアルタイムで物件の内装をチェックしてもらうことも可能です。
またコメントで「ここが詳しく見たい」「あそこはどうなっている?」といった質問にその場で答えられるため、フォロワーと親密度を上げつつ物件の不安な点・疑問点を解消してもらえるでしょう。
投稿にハッシュタグをつける
投稿を行う場合には、ハッシュタグを有効活用しましょう。ハッシュタグとは「#」の後に特定のキーワードを入力することで、そのキーワードに関連した投稿をまとめて見られる便利機能です。たとえば「#デザイナーズマンション」や「#目黒区」といった言葉があり、投稿についたこのキーワードをタップすれば、ほかのデザイナーズマンションや、目黒区内にある物件をまとめて閲覧できます。そのため希望の条件で物件を絞り込むのに便利です。
また、このハッシュタグをつけていると、このハッシュタグで検索したフォロワー外のユーザーにも投稿を見てもらえます。これによりフォロワーの増加や、いいねの増加といった、アカウントの成長にも期待できるでしょう。
投稿につけるハッシュタグの数は5~10程度がおすすめです。どういったハッシュタグをつければいいかは同じ不動産系のアカウントの投稿を参考にしましょう。
ユーザー目線でコンテツをつくる
投稿する内容を考える場合は、必ずユーザー目線に立ち「自分だったらどういった情報がほしいか」を考えるのが重要です。たとえばインスタグラムは前述したように、まだ熱心に物件を探していない潜在顧客も多いため、1枚目の写真で「駅から徒歩◯分、築年数〇〇年、家賃〇〇円」といった情報ばかりをずらずら並べても、あまり見る気にはなれません。
そのため、それよりもその物件のユニークなところや、おしゃれな部分をアピールした方が、コンテンツとしては楽しく、多くの人に見てもらいやすくなるでしょう。またこれから物件探しを行うユーザーに向け「物件で必ず見るべきポイント」といった、お役立ち情報を提供するのもおすすめです。
インスタ広告を活用する
フォロワーを短期で一気に増やしたり、直接ホームページに誘導したりしたい場合にはインスタ広告を利用するのもおすすめです。インスタ広告は、タイムラインや発見タブの投稿の間に表示される投稿形式の広告のことで、通常の投稿と見た目がほぼ変わらず、ユーザーに違和感なく広告を見てもらえるのが特徴です。
またフォローしてもらっていない多くのユーザーに投稿(広告)が見てもらえ、広告を表示するユーザーの年齢や性別なども細かく指定できるため、高い費用対効果が期待できるでしょう。予算に余裕があれば、検討するのもおすすめです。
インスタグラマーにPRしてもらう
アカウントを宣伝する方法としては、広告のほかにインスタグラマーにPRしてもらう方法もあります。インスタグラマーとはインスタグラムにおいてフォロワー数が多く、大きな影響力をもつ人たちのことです。
インスタグラマーに依頼をして、アカウントや物件に関するPR投稿を行ってもらえば、その人が抱える多くのフォロワーに投稿を見てもらえ、フォローや成約につながりやすくなるでしょう。ただし当然依頼には費用がかかるため、どの程度のフォロワー数が必要か、どういったインスタグラマーであれば効果的に宣伝してもらえるかといったことを慎重に考える必要があります。
一目でわかりやすいプロフィールを設定する
集客したユーザーはその後アカウントのフォローや自社のホームページへ誘導する必要があるため、プロフィール欄もわかりやすいものにしましょう。文章はごちゃごちゃとかかずに、最低限「誰が何について投稿しているアカウントなのか」を簡潔な言葉で短くまとめます。
また先ほど紹介したアカウントのコンセプトがあれば、これを記載することでターゲット層のフォローやホームページにつなげやすくなるためおすすめです。また企業用のLINE公式アカウントがある場合はこれも載せ、LINEのやり取りで問い合わせやコミュニケーションのハードルを下げましょう。
不動産会社がインスタ集客に成功した事例
最後に、不動産会社がインスタ集客を行う際に参考となるよう、実際にインスタグラムでアカウントの運用に成功している企業の事例をいくつか紹介します。
goodroom
goodroom(グッドルーム)は、部屋の提案から暮らしの提案まで幅広く行う不動産会社で、フォロワー数は15.6万人(2024年12月時点)です。アカウントでは主に物件の写真や情報を毎日発信しています。goodroomの特徴は「本当に部屋を好きな人が見たいと思うコンテンツを追求する」ことであり、世界観の統一などにもこだわっているそうです。
また役に立つ情報の発信やフォロワーとの双方向のコミュニケーションをしっかりと行うことで、フォロワー数は着々と伸びたとのこと。こういった運用を行うなかで実際にインスタグラムがきっかけで問い合わせをもらうことも多く、アカウントの運用が順調に進むことによって、広告の効果も出やすくなっているそうです。
※出典:InstaAntenna「不動産でのフォロワー数最多!ファンの増加が止まらないgoodroomのアカウント運用について」
積水ハウス
大手ハウスメーカー積水ハウスのインスタグラムアカウントは、フォロワー数14万人(2024年12月時点)で、主に家族向けの物件やお役立ち情報を中心に投稿しています。ターゲット層がファミリーということもあり、投稿は全体的に優しく温かみを感じる雰囲気・色合いで統一されているのが特徴です。
また動画投稿では、実際に家を建てた人に対してインタビューを行っており、家を建てた後の生活を具体的に想像しやすくなっています。さらに、プロフィールに記載された公式LINEへの誘導案内やカタログ請求の仕方など、導線がきれいにつなげられているため、こういった部分でも参考にしやすいでしょう。
Simple NAIKEN
Simple NAIKENは、大阪にある賃貸不動産会社で、アカウントでは主に若年層向けの物件を日々投稿しています。フォロワー数は5.3万人(2024年12月時点)です。ターゲット層が若年層といったこともあり、投稿のアピールポイントに若年層からの反応がよさそうなキーワードを盛り込んでいるのが特徴です。
たとえば「初めての同棲」や、「DEN(狭めの多目的空間)」、「ガラスブロックがエモい」といった言葉でユーザーの注目を引いています。また物件を保存して「詳細ください」とだけコメントすると、物件の詳細が見られる仕組みをつくっているのもポイント。
詳細を書かないことで、投稿の見にくさを軽減するのはもちろん、保存・コメントの数が多い投稿は人気が高いと判断されやすく、発見タブやタイムラインにも表示されやすくなるため、アカウントの成長にも結びつけています。また詳細を伝えるやり取りのなかでホームページへの誘導や内見の予約にも結びつけやすく、アカウントの成長と絡めて導線づくりがしっかりしているよい例の1つといえるでしょう。
まとめ
今回は、不動産業界におけるインスタ集客のメリットやデメリット、具体的な運用ポイントなどについて詳しく紹介しました。インスタグラムは不動産会社との相性がよく、うまく利用することで大幅な売上の向上にも期待できます。ぜひこの記事を参考に、アカウントの運用を検討してはいかがでしょうか。